検算ノート 実際のところ、どうなんだろう。

【検証001】「月10万円の積立で、5〜7年で5,000〜7,000万円」は成立するか

2026-08-11🟥 破綻検証カルテ "001"

「AIを使った資産形成」を扱うある記事に、こう書かれていました。

一般的な資産形成で「月30万円の運用益」を作るには、5,000〜7,000万円の元本と平均年利5%の運用が必要と言われています。でも(この手法)なら、月10万円の入金余力を作るだけで、5〜7年で同じゴールに届く水準まで持っていけます。

引っかかったので、電卓を叩きました。

検算

月10万円を積み立て、年利5%で運用した場合の到達額です(月次複利、税・手数料は考慮せず、運用側に最も有利な条件で計算しています)。

期間 到達額 うち元本 運用益
5年 680万円 600万円 80万円
7年 1,003万円 840万円 163万円
10年 1,553万円 1,200万円 353万円
20年 4,110万円 2,400万円 1,710万円
30年 8,323万円 3,600万円 4,723万円

7年で1,003万円。

記事が掲げた5,000〜7,000万円に対して、およそ5分の1から7分の1です。

逆算してみる

では、7年で5,000万円に届かせるには、毎月いくら必要なのか。

目標 必要な毎月の入金額
7年で5,000万円 月49.8万円
7年で7,000万円 月69.8万円
5年で5,000万円 月73.5万円

月10万円で5,000万円台に到達するのは、30年前後かかる計算になります。

記事は、正しい数字を自分で書いていた

ここが一番奇妙な点です。

同じ段落の前半で、記事はこう書いています。

月30万円の運用益を作るには、5,000〜7,000万円の元本と平均年利5%の運用が必要

これは概ね正しい。7,000万円 × 5% = 年350万円 = 月29.2万円ですから、計算は合っています。

そして後半で、その1/5〜1/7の入金額で同じゴールに届く、と述べる。

前提の置き方の違いではありません。同一段落の中で、自分が書いた数字と矛盾しています。

判定:🟥 破綻

誤差ではなく、桁の問題です。この主張を根拠に行動を決めることはできません。

公平のために ── 記事が正しかった部分

つまり問題は手法ではなく、到達までの時間軸が5〜7倍圧縮して書かれていたことにあります。

そして、この圧縮こそが、記事を読み進めさせる推進力になっていました。

検算に使ったコード

こちらで確認できるようにしておきます。

r = 0.05 / 12                      # 年利5%・月次
for years in [5, 7, 10, 20, 30]:
    n = years * 12
    fv = 100000 * (((1 + r)**n - 1) / r)
    print(f"{years:2d}年 -> {fv/10000:,.0f}万円 (元本 {100000*n/10000:,.0f}万円)")

前提を変えたい方は、r と積立額を書き換えてください。年利7%で計算しても、7年で1,092万円です。桁は変わりません。

再現条件

この主張が成立する条件を探すと、こうなります。


本記事は特定の個人・アカウントを対象とするものではなく、記事内で提示された計算の妥当性のみを検証しています。